2022.2.15更新

ICE CREAM GIFT|01|京都を知る、職人を伝えるスプーン

#1 今回は「ICE CREAM GIFT」についてご紹介します。

 

 

「ICE CREAM GIFT」とは、「市販のアイスクリームに付いてくる木のスプーン」の形のかわいさに着目して作られた、京都の伝統工芸の職人が手掛けている製品です。“自分のための少しリッチな夜のアイスクリームスプーン”として、そして“ギフト”にと楽しむことができる製品です。また、これは京都の伝統工芸の職人に作っていただくことで、古くからある伝統工芸の魅力を伝えていく製品でもあります。

 

「ICE CREAM GIFT」の背景やキッカケについて当センター長 酒井洋輔(空間演出デザイン学科 准教授)がお話しします。

 

京都を知る、職人を伝えるスプーン

 

 

──この企画を始めたきっかけは何でしたか?

 

きっかけは、2018年に京都芸術大学空間デザイン学科を卒業した、ジュエリーデザイン専攻の増田萌子さんのプロジェクトです。
学生などの若年層は基本的に「漆」に興味がないですし、「錺金具」なんて名前も聞いたことがない人がほとんどだと思います。
そういう世代を振り向かせるためには、どういうアウトプットが必要か考えたのです。このプロジェクトは「職人が作っている」ことが伝わらないと面白くないので、そういったことが分かるように説明書をパッケージの中に挿入したり、量産に向けて手直しするなど準備と工夫を重ねて販売をスタートさせました。

 

──この企画に込めた想いについて教えてください。

 

多くの人は伝統工芸を「私とは関係のないもの」という距離感で普段から接しています。
ですから既に伝統工芸に興味関心を持っている人は、とてもマイノリティーだと言えます。そういう状況をベースに物事を考えていかないと世の中は動かせないと思っていて、いかに関心を持たれていない人達のことを考えて作っていけるのかが大事だと感じています。伝統的な文化や技、職人の思想は、知ると本当に楽しいものです。

 
知ることで、より人生が楽しく豊かになります。
だからこそ知ってもらいたいし、興味をもって欲しいけど、普通に言っても伝わらない。アイススプーンの形は皆が知っています。しかも意識して観察すると可愛くないこともない。小さい頃から無意識に使っているために「可愛い」とかの対象になっていないだけです。
この皆が知る形で、様々な職人の技術や素材のサンプリングができたなら、興味を引くことができるだろうし、知ってもらえるだろうなと考えています。

 

──この企画で目標としているところはありますか?

 

できるだけ多くの職人にこのプロジェクトに挑戦して欲しいと思っています。
当然ですが、どの職人もアイスクリームスプーンの職人ではないので、チャレンジです。
「どうやったら作れるんやろう?」から始まるので。でも普通はそんなオーダーは来ないので、むしろ楽しんでやってくれることがほとんどです。
仕事という意識ではなくて、挑戦や冒険のような感覚で製作していただいています。
このプロジェクトは、何度も職人さんを訪問して、会いに行くことで積み重ねられる、京都だからこそできるデザインプロジェクトです。

 

#2 に続く

 

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