2022.2.15更新

金網のつりかご|01|つくるひと 辻和金網さん

「つくり手」の思いを「つかい手」が生活に取り入れ、使い続けるから、伝統がつながっていく。ひとつの工芸品について「作る人」と「使う人」それぞれのインタビューから見ていきます。

 

今回ご紹介するのは、辻和金網 3代目 辻泰宏さんです。

 

辻和金網辻泰宏さん

 

創業1927年辻和金網の三代目。大学卒業後すぐに金網細工の道へ。90年以上も変わることのない伝統の技で料亭から一般家庭まで、様々なもの作る手仕事。生み出される美しい金網は機械には真似することのできない職人の技。金網専門店が少なくなった今も、時代にあった道具を作り、京都の伝統を守り続ける。

 

平安時代から、変わらない編み方。フェンスも昔は手編みだった。 

 

 


──金網の歴史を教えてください

 

京都の金網の起源って平安時代って言われてて、その頃は線から一つ一つ手作りだから、金網って高価なものやった。手作業で作るもんだった網が機械で作れるようになって、一般的に広まっていった。広まったけど、手で作る人はどんどん減っていった。プラスチックも出てきたし。今、京都にはこうして表立って金網売ってるところは三軒しかないな。職人さんも内職さんいれて、七、八人とちゃうかな。

もともとは金網屋だけでも京都に五、六十軒はあったみたいやけどな。機械が出てきた時に、建築関係の網とうちらみたいな手作りの調理用具みたいなものに、すぽっと別れたんや。建築関係っていうのはフェンスとか、網戸とか。フェンスも昔はみんな手編みやったな〜。

 

──編み方や素材はどんなものがあるんですか?

 

編み方は基本亀甲編み。二本の線を編んでいってたら、自然と六角形になるね。必然的に。逆に違う形にしろって言われたらできなくはないけど難しい。編んでねじっていくとどんどん丈夫になっていく。素材は銅の方が編みやすい。そのままクッと曲がってくれるんよ、銅は。ステンレスは、パッと離したら、戻るんよ。その代わりステンレスの方が丈夫やけど。

 

──編む目の詰め具合でこんなに綺麗に立体になるんですか?

 

これはもう、熟練やな。けど、機械みたいに完璧に編めへんから、もう修正の連続。ここ編んで、もうなおせへんなと思ったら、どっかでその狂いを合わせとくみたいな。めちゃくちゃ正確にやってたら、時間も手間もかかるし。

 

──使ってる材料でこだわりなどはありますか?

 

ある。悪いやつは返品するで。たまに、銅でも色が悪い時ある。あと基本、ステンレスも銅も、硬線となましと二種類あってね。なましっていうのは熱入れて、ちょっと柔らかくしてる。手で編むやつは基本ぜんぶなまし。曲げやすさとかで良し悪しはあんまりないけど。

やっぱり、こだわりっていうか一番見るのは色かな。出来上がった時に色が悪かったらどんなに綺麗に仕上がってても、な。あと、ステンレスでちょっと油の量が多かったりとか。そんなんは、もうこっちで拭いてるけど。

 

──商品を作る時、銅とステンレスはどうやって使い分けていますか?

 

基本、ステンレスは丈夫だから、火つかうものはステンレス。あと、水気な。銅は、実は水気があかんわけではないんやけど。抗菌作用もあるし。その色の変化を楽しみたいっていう人もいるしね。あと、火にはあんまし強くない。そのかわり熱伝導はいいから、炭火で使ったりとか。料理屋さんとかけっこう銅が多いね。

 

 

──手仕事だからできることはありますか?

 

そうやねえ。まあ、お客さんの要望に答えられるというところかな。針金の太さにしろ、網目の大きさにしろ、要望に答えやすい。それは手作業でしかできないことやと思うわ。機械じゃ融通きかんからな。それこそお客さんと話しててこんなん作れますか、という話からこんな使い方してます、とかも聞けたりする。

もともとコンロの上に置いてお餅とか野菜を焼くものって売ってたけど、その網でパン焼く人が現れたりしてな。あとは修理もできる、ほころんできたら直したりとかね。

 

──辻和金網さんにしかできない技とかってあるんですか?

 

うーん。難しいな、難しいけどその店によって、微妙にねじり方が違たりとか。形でも微妙に違たりする。お客さんが同じやと思てても違ってたりとか。見たら誰が編んだかまで分かるな。それはもう特徴があるから。そら一般の人は分からへんやろうけど笑

亀甲の目の角度とかでな。ねじりが短くて、詰まると、当然角度が変わるんよ。ねじりの違いだけで分かるね。職人さん何人かいはるけど、やっぱりそれぞれ特徴がある。

 

良い変化のためには使うこと

 

 

──辻さんの金網のおすすめの使い方とかはありますか?

 

この釣りかごやったら、根菜類入れてもらったり、吊るしてお花入れたり。色んな使い方して欲しい、自由になんでも入れてもらえたら。とにかく置いといてもらうより使ってもらいたいな。いい変化は、使わないかん。使うほど、艶が出た色の変わり方をする。

何も使わずに色の変化していく場合と、使いながら色の変化していく場合では全然違うね。この前、使い込んだ人で持って来はって、中網変えた時とか、けっこういい色になってたけどね。

 

 

(金網のつりかご|02|つかうひと に続く)